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介護職が読みたい小説ランキング|介護・ケアもの
1972年に、認知症の舅を介護する主婦の物語が出版され、200万部近いベストセラーになりました——『恍惚の人』。つまり日本文学は、50年以上前から介護を正面から書いてきたことになります。今回の5冊には芥川賞受賞作が2作入っています。介護は、文学がいちばん真剣に向き合ってきた仕事のひとつなんです。
第5位:『介護入門』モブ・ノリオ(2004)
祖母を在宅介護する青年の独白。芥川賞受賞作です。ラップのようなリズムの文体で、介護の日々の反復と、その中の祈りみたいなものを書く。読みやすい本ではありません。でも「介護を語る言葉は、湿っぽい定型だけじゃない」と教えてくれた一冊として。
第4位:『スクラップ・アンド・ビルド』羽田圭介(2015)
「死にたい」と繰り返す祖父と、無職の青年。こちらも芥川賞。介護する側の身勝手さも、される側のしたたかさも、両方をユーモラスに、容赦なく書きます。きれいごとの介護観を一回壊してくれるので、現場の人が読むと逆に呼吸が楽になる種類の小説です。
第3位:『ロスト・ケア』葉真中顕(2013)
介護現場で起きた連続殺人を追う社会派ミステリ。重い題材ですが、この小説の矛先は現場の個人ではなく、「家族介護の限界を放置する制度」に向いています。介護職こそ読んでおきたい一冊——現場が背負わされているものの正体を、物語の力で言語化してくれるからです。
第2位:『長いお別れ』中島京子(2015)
映画版も職種版で挙げましたが、原作は連作短編で、7年の介護が「事件」ではなく「日々」として積み重なっていきます。ユーモアの量が絶妙で、認知症の描写に品がある。利用者の家族に一冊すすめるなら、わたしはこれを選びます。
第1位:『恍惚の人』有吉佐和子(1972)
1位は迷った末に、古典に戻りました。半世紀前の小説なのに、在宅介護の孤立、制度の薄さ、家族の中の分担の偏り——書かれている問題のほとんどが、まだ現役なんです。介護保険もない時代にこれを社会に突きつけた射程の長さは、いま読むといっそう分かります。この仕事の歴史の始点として、一度は。
今夜読むなら
肩の力を抜きたい夜は『スクラップ・アンド・ビルド』を。この仕事の背景を深く知りたい週末は『恍惚の人』から『ロスト・ケア』へ、50年ぶんの変化を並べて。仕事を描いた小説をもっと読みたい人は仕事に効く経済小説ランキングへ。
文・mina(project転職編集部) 働く人が出てくる映画・ドラマ・本ばかり観ている。パンフレットは必ず買う派で、ネタバレには世界一慎重。「今夜観る一本」を選ぶお手伝いをします。
最終更新:2026年7月5日
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