転職コラム 中森 監修 平野 更新 2026-07-05
目次
  1. 共通点1:「決まる場所」に居続ける
  2. 共通点2:上司の上司の言葉で話せる
  3. 共通点3:敵を作らない、ではなく「貸しを作る」
  4. 共通点4:「上がりたい」と口に出している
  5. 出世しない、も立派な戦略である
  6. 今日ひとつだけやるなら

出世する人に共通する特徴

同期の中で最初に課長になったのは、一番優秀な人ではなかった。少なくとも当時の私はそう思っていて、辞令の日、同期の飲み会で「なんで彼なんだろうね」と言い合った夜のことをよく覚えている。あれは半分、負け惜しみだった。

ただ、負け惜しみにも使い道はある。私はそれから10年、彼を含めて「先に上がっていく人たち」を観察し続けた。そして認めたくなかった結論に達した。彼らには共通点があり、それは優秀さではなく、もっと地味な何かだった。

共通点1:「決まる場所」に居続ける

出世していく人たちは、物事が決まる場所——会議の前の立ち話、上司が相談を持ちかける相手のリスト、新しいプロジェクトの立ち上げメンバー——に、なぜかいつもいた。

最初は運だと思っていた。違った。彼らは呼ばれる前に手を挙げていたのだ。誰もやりたがらない新規案件、面倒な部署間の調整役。損な役回りに見えるそれらは、実は「決める人たちと同じ部屋に入る入場券」だった。決まる場所にいる人は、次も呼ばれる。この複利が、5年で埋められない差になる。

共通点2:上司の上司の言葉で話せる

出世する同期の資料を見せてもらって、驚いたことがある。私の資料が「現場で何が起きているか」を書いていたのに対し、彼の資料は「それが部長の課題にどう繋がるか」から書き始められていた。

ごますりではない。彼は自分の仕事を、二階上の視点から説明する練習を、平社員のときからしていたのだ。昇進とは「次の階の視点で既に考えている人」に追認として与えられるもの——これは10年観察した中で、一番例外が少なかった法則だ。

共通点3:敵を作らない、ではなく「貸しを作る」

社内政治が上手い、という言い方をよくするが、観察した限り、上がっていく人は権謀術数を使っていなかった。やっていたのはもっと単純で、他部署の困りごとを、自分の損得を保留して手伝うこと。それだけだった。

数年後、彼が新しい部署を立ち上げるとき、あちこちの部署から「あの人なら」と人と協力が集まるのを見た。貸しは利子つきで返ってくる。しかも本人は貸しだと思っていない顔をしている。あれが一番強い。

共通点4:「上がりたい」と口に出している

身も蓋もない話を最後に。出世した人たちは、ほぼ全員、上司との面談で「管理職をやりたい」と明言していた。私はと言えば、「機会があれば」などと言っていた。謙遜のつもりだった。

でも人事の立場で考えれば当たり前で、昇進は本人の意思確認が要る人事だ。手を挙げていない人を、わざわざ説得してまで上げる理由は、組織の側にはない。「機会があれば」は、選考リストから静かに外れる呪文だった。

出世しない、も立派な戦略である

ここまで書いてきてなんだが、私は結局、あの会社で管理職にならなかった。観察の結果、「決まる場所に居続ける」生活が自分の幸福と合わないと分かったからだ。これは負け惜しみではなく——いや、3割くらいは負け惜しみかもしれないが——出世は義務ではなく選択肢だ、というのが10年の観察のもう一つの結論だ。

大事なのは、選ぶこと。上がりたいなら、上の4つは今日から真似できる。上がりたくないなら、専門性で処遇を上げる道も、評価のされ方を整えて今の役割の値段を上げる道もある。一番もったいないのは、選ばないまま「なんで彼なんだろうね」と言い続ける夜だけだ。私はあの夜を、10年分やった。

今日ひとつだけやるなら

次の面談で、自分のキャリアの希望を一文、はっきり言葉にしてみてほしい。「管理職に挑戦したい」でも「専門性を深めたい」でもいい。組織はエスパーではないので、言っていないことは存在しない——これは評価の仕組みの話とも地続きの、この世界の基本ルールだ。


文・kyon(project転職編集部) 手帳とToDo管理が趣味なのに寝坊する、仕事術の実験台。できる人の自慢より、できなかった日の保険になる話を書いています。

最終更新:2026年7月5日

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