会社で評価される人・されない人の違い
評価「される」側の話は前に書いたので(頑張っているのに評価されない問題)、今日は白状する側に回りたい。私は数年間、チームの査定をつける側にいた。そして最初の期、大きな間違いをやった。一番頑張っていた人に、一番低い評価をつけてしまったのだ。
彼女は誰よりも遅くまで働いていた。それは知っていた。でも査定の締切前夜、評価シートを前にした私は、彼女の欄に書くことが何もなかった。何をやり遂げたのか、思い出せなかったのだ。頑張っていた印象はある。成果の記憶がない。私は空欄を前に、自分の管理能力のなさを呪いながら、それでも「B」をつけた。
あの夜以来、私は「評価される人とされない人の違い」を、つける側の景色から考え続けている。結論はシンプルで、少し身も蓋もない。違いは能力ではなく、「評価者の仕事を軽くする人か、重くする人か」だった。
評価は「思い出してもらう」ゲームだった
査定をつける側の実情を書くと、評価者は部下ひとりの働きぶりを、あなたが思っているほど見ていない。見る時間がない。プレイヤー業務と管理業務を抱えて、査定期に評価シートの山と向き合う——そのとき評価者の頭の中で起きているのは「採点」ではなく「思い出す作業」だ。
つまり評価される人とは、極端に言えば思い出しやすい人である。ここで能力の勝負だと思っていた頃の私は、二重に間違えていた。頑張りは、記録されなければ思い出せない。そして思い出せないものは、なかったことになる。
評価される人がやっていた3つのこと
つける側から見て、高い評価を「つけやすかった」人には共通点があった。
1. 成果を、評価の言葉で残す人 「頑張りました」ではなく「◯◯を△△までやり、□□になりました」を、期中から小刻みに報告してくれる人。評価者は査定の夜、その報告を並べるだけでシートが埋まる。これは自己アピールの上手さではなく、記録の親切さの問題だ。
2. 評価者の「上への説明」を想像できる人 評価者もまた、その上の誰かに「なぜ彼女がAなのか」を説明する立場にある。その説明材料(数字・顧客の言葉・ビフォーアフター)を渡してくれる人は、推薦しやすい。評価とは多くの場合、評価者があなたの代理人として戦う場で、代理人には武器が要る。
3. 「見えない仕事」に値札をつける人 後輩の相談に乗る、雑務を巻き取る——それ自体は素晴らしい。評価される人は、それを「チームの離職防止」「〇〇さんの立ち上がりが1ヶ月早まった」という言葉に変換して見せていた。仕事の中身は同じでも、値札がないものは査定の棚に並ばない。
されない人は、能力が低いのではない
逆に、評価がつけにくかった人はどうだったか。仕事はできるのに黙々と抱え込む人。成果を聞くと「たいしたことはしていないので」と本気で言う人。謙虚さと無記録が組み合わさると、査定上は「何もしていない人」と区別がつかなくなる——これが、つける側にいた私の一番苦い発見だった。
あの夜Bをつけた彼女に、私は翌期から「週1回、3行だけ、やったことを送ってほしい」と頼んだ。彼女の仕事は何も変わっていない。次の査定で、彼女はAだった。変わったのは働きぶりではなく、私が思い出せるようになったことだけだ。
仕組みごと信用できないときは
ここまでは「仕組みがまともであること」が前提の話だ。記録しても、値札をつけても、評価者の好き嫌いで結果がひっくり返る職場なら、それは前回書いた「構造の問題」で、あなたの記録術では解決しない。また、評価が上がったのに給与に反映されない場合の話は、給与交渉の記事側の領分になる。評価と報酬は、実は別のゲームなのだ。
今日ひとつだけやるなら
今週やったことを、3行だけ書いて上司に送ってみてほしい。アピールっぽくて気が引けるなら、こう考えてもらえたら——それはアピールではなく、査定の夜のあの人への、差し入れだ。私は差し入れをもらった側の人間として、あれが何より嬉しかったことを保証する。
文・kyon(project転職編集部) 手帳とToDo管理が趣味なのに寝坊する、仕事術の実験台。できる人の自慢より、できなかった日の保険になる話を書いています。
最終更新:2026年7月5日
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