職種別 平均睡眠時間・生活リズムランキング
タイトルに偽りが出る前に白状する。日本人の睡眠時間の平均は7時間54分前後——これは総務省の社会生活基本調査(令和3年)が5年ごとに測っている、信頼できる数字だ。長く減り続けていた日本人の睡眠が、2021年に増加へ転じたことも分かっている。
ところが「職種別の平均睡眠時間ランキング」となると、話が変わる。公式統計の表の海に潜ってみたが、職種で並べたきれいなランキングは、簡単には手に入らなかった。ないものを作ると嘘になる。だから今日は順位を捨てて、代わりにもっと面白いと思っている軸を出したい。睡眠は「長さ」より「型」で職種を分けたほうが、実態に近い——という僕の仮説だ。
眠りの4つの型
数ヶ月かけて10職種の働き方を調べてきて、睡眠の風景はだいたい4つの型に分かれると思うようになった。
型1:固定型——「同じ時間に眠れる」という見えない福利厚生
事務職、多くのエンジニア、日勤のみの医療事務や歯科衛生士。毎日ほぼ同じ時刻に寝て起きる型で、睡眠の「量」より「安定」に恵まれている。この安定は求人票に書かれない福利厚生だと僕は思っているが、持っている本人はたいてい気づいていない。失って初めて分かる型の資産だ。
型2:交代型——体内時計と交渉し続ける人たち
看護師、介護職(入所系)、工場の交代勤務。夜勤を含むシフトで、眠る時刻そのものが週単位で移動する。この型の大変さは総量では測れない。同じ7時間でも、毎回違う時刻の7時間は、体にとって別物だからだ。
夜勤明けの過ごし方(すぐ寝るか、夜まで起きて調整するか)は、この型の人たちの間で永遠に語られる技術論で、聞くたびに感心する。あれは生活の知恵というより、もはや専門技能だと思う。
型3:オンコール型——「眠っていても待機している」
訪問看護の管理者、施工管理の現場責任者、システムの障害当番を持つエンジニア。この型の特徴は、眠りの中に「呼ばれるかもしれない」という薄い緊張が混ざることだ。呼ばれなかった夜でも、眠りの質は普通の夜と同じではないはずで、これは睡眠時間の統計には決して現れない負荷だと思う。
型4:持ち帰り型——布団の中まで仕事が付いてくる
保育士の行事前、教員、締切前のクリエイター。物理的な持ち帰り仕事だけでなく、頭の中の持ち帰り——「あの子の明日の対応」「あの提案の直し」——が寝つきを削る型だ。仕事は定時に終わっても、考えることが終わらない。この型の睡眠負債は、本人の要領の問題として片付けられがちなところが、いちばん気の毒だと思っている。
型から見えること
こうして並べると、「睡眠時間が長い職種はどこか」という最初の問いが、あまり本質的でなかったことが分かる。大事なのは長さではなく、「自分の眠りの型と、生活の設計が合っているか」だ。
交代型に向く体質の人は実在するし(夜勤の自由な平日を愛する看護師に、僕は何人も会ったことがある)、固定型の安定が退屈で仕方ない人もいる。転職で職種や職場を選ぶことは、実は次の10年の眠りの型を選ぶことでもある——求人票の給与欄の近くに、本当はこの情報が載っているべきなのだ。
数えられなかったものたち
営業の「接待の夜の睡眠」、フリーランスの「不安による中途覚醒」、子育てと夜勤のダブル交代制。型に収まらない眠りが世の中には無数にあって、今日の4分類はあくまで大きな地図にすぎない。
それと、宿題をひとつ。社会生活基本調査は5年ごとに行われる。次の調査結果が出たら、職業別の表を今度こそ底まで潜って、本物の数字でこの記事の続きを書きたい。それまで、このランキング未満の分類でご容赦いただきたい。あなたの眠りの型の話も、聞かせてもらえたら嬉しい。
交代型から固定型へ移りたい人向けの実際の話は、夜勤なしで働く看護師の選択肢と夜勤なしの介護職の探し方にまとめてある。
文・osamu(project転職編集部) 数える前に、まず現場の人の話をひとつ聞くのがルール。ランキングは競わせるためじゃなく、知らない仕事を近くに感じるために作っている。燃料は銭湯のコーヒー牛乳。
出典
※「眠りの型」の分類は調査データではなく筆者の考察です。
最終更新:2026年7月5日
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