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海外お仕事ドラマ ベスト5|1位に『セヴェランス』を選んだ理由
エレベーターが地下のフロアに降りていく数秒のあいだに、主人公の表情から「仕事の外の記憶」がすっと消えていく場面がある。2022年に始まったあるドラマの、何度観てもぞっとする導入だ。
海外ドラマは「仕事と自分の距離」を描かせると容赦がない。皮肉も、風刺も、SFの飛距離も使って、働くわたしたちの急所を突いてくる。今日はそんな5本。例によって核心のネタバレは避けるので、安心して読んでほしい。
第5位:『シリコンバレー』(2014〜2019・HBO)
天才プログラマーが起業して、スタートアップの地獄めぐりをするコメディ。誇張された風刺のようでいて、IT業界の人ほど「誇張じゃない」と遠い目をする作品だ。技術の理想と、金と、経営のあいだで引き裂かれる人たちを、笑いの形でしか描けない精度で描く。起業や転職でキラキラした世界に行こうとしている人への、最高の予防接種でもある。
第4位:『SUITS/スーツ』(2011〜・USAネットワーク)
NYの大手法律事務所を舞台にした、切れ味重視のリーガルドラマ。学歴のない天才青年と、完璧主義のエリート弁護士のコンビが数々の案件を捌いていく。学歴と実力、経歴の嘘という危うい主題を抱えつつ、このドラマの魅力は結局、「仕事ができる人たちの会話の速度」だ。観終わるとメールの返信が少し速くなる(当社比)、稀有な効能がある。
第3位:『マッドメン』(2007〜2015・AMC)
1960年代NYの広告業界。才能ある広告マンたちの、成功と自滅の10年を描く大河だ。この作品が仕事ドラマとして特別なのは、「仕事の成功が、人生の穴を埋めてくれない」ことを10年かけて描き切ったところにある。プレゼンの場面の美しさは全ドラマ史でも屈指なのに、その直後に必ず、満たされない顔が映る。キャリアの絶頂で虚しさを感じたことのある人には、劇薬として効く。
第2位:『ジ・オフィス』(米国版・2005〜2013・NBC)
ペンシルベニア州の製紙会社の支店を、モキュメンタリー形式で撮り続けたコメディの金字塔。空回りする上司、退屈な会議、同僚のくだらないいたずら——「何も起きない職場」がこんなに面白く、最終的にこんなに愛おしくなるとは。
9シーズン付き合ったあとに残るのは、笑いの記憶より「職場って、人生の置き場所のひとつなんだな」という妙な実感だ。退屈な職場で働くすべての人の、退屈の側に立ってくれるドラマ。
第1位:『セヴェランス』(2022〜・Apple TV+)
冒頭のエレベーターのドラマ。手術によって「仕事中の記憶」と「私生活の記憶」を完全に分離した社員たちが働く企業、という設定のSFスリラーだ。
ワークライフバランスという言葉の最も過激な思考実験であり、「仕事の自分」しか知らないもう一人の自分にとって、人生とは何なのか——という問いは、設定の奇抜さを超えてわたしたち全員に刺さってくる。ここから先は観た人だけの領域なので何も言わないが、1位に迷いはなかった。仕事とは、自分とは、という問いを、最後に一撃で突きつけられる。
今夜観るなら
一気見の体力がある週末の初日なら『セヴェランス』を。平日の夜に20分だけ笑って寝たいなら『ジ・オフィス』を1話(そして翌日も1話、気づけば9シーズン)。日本のドラマ編はこちらへ。
作品をもっと広く見比べたいときは、特集仕事・働くをテーマにしたドラマ13選に一覧があります。ここはその中から5本に絞って、順位と理由まで書いた回です。
文・mina(project転職編集部) 働く人が出てくる映画・ドラマ・本ばかり観ている。パンフレットは必ず買う派で、ネタバレには世界一慎重。「今夜観る一本」を選ぶお手伝いをします。
最終更新:2026年7月5日
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